救うギャルマインド
著者・こうちゃん
踏切で列車が通るのを待つ。もし今ここに入りこめば、あの嫌いで嫌いで仕方ない上司の顔を見ることもないよな…とふと考えてしまう。
横に、髪を金髪にした制服姿のギャル二人が立ち止まる。声が踏切の警告音よりも大きい。会話がどうしても聞こえてしまう。
「昨日ちょー面白い夢を見たんだけど」
「え、なになに」

話の間に笑い声が混ざる。
「なんかー山登りをしてて。立ちしょんをしてるおじさんがいたんだよね。山汚しちゃダメじゃん。そこで私膝カックンしに行ったんだよ」
「うんうん」
「そしたらそのおじさん、バッと振り向いてきて。今膝カックンしたら、おしっこがもっと飛びっちゃうだろ! よく考えてから行動しろよっ!! ったく…最近の若い奴らは…って講釈垂れ始めて。そんなん言う前におっさんあんたが立ちションすんなよな!!! って話でしょ」
「アハハ〜なにそれ〜マジ不運〜」
夢の話で、よくそこまで盛り上がれるな、と思っていたら、徐々に楽しくなってしまって、プッと噴き出してしまった。ギャル二人が僕のほうを怪訝そうな顔で見てくる。僕は急いで、開いたばかりの踏切を渡る。
ギャルの話を聞いていたら、いつしか上司の事なんか忘れてしまっていた。
ギャルマインド、恐るべし。
文/著者 プロフィール
