fuerafueraのミュージックコラム
シンガーソングライター・ギタリストの赤須翔さんと、シンガーソングライターの大江友海さんのユニットfuerafueraのミュージックエッセイです。身近な音楽について綴るコラムをお楽しみください。
皆様こんにちは。fuerafueraという音楽ユニットで作曲とギターと歌とetcを担当している長野県出身墨田区在住ミュージシャンの赤須翔と申します。この度は去年9月に発売したfuerafueraの1stアルバム【夢の中で恋に落ちた】の取材をすみだノートさんにして頂いた事をきっかけにコラムを書かせていただくことになりました。感謝。
何を書こうかなぁと考えた結果、2020年に新しく始めた音楽関係の記事を書くことにしました。
僕にとってそれはスライドギターとオープンチューニングです。
スライドギターとはスライドバーやボトルネックと呼ばれるガラス、金属、陶器などの材質で出来た手のひらサイズのバーや筒を弦に軽く当ててスライドしながら弦を弾くことにより、普通に押弦する奏法とは全く違う効果が得られる奏法です。
そしてオープンチューニングとは、弦を押さえずに鳴らす開放弦だけで和音になっているチューニングの事で、色んな種類があります。
それに対してレギュラーチューニングというチューニングもあり、世の中の一般大衆の人達がイメージするギターの音、耳にしたことある音はレギュラーチューニングが大きく割合を占めると思います。
僕がスライドギターの奏法を始めたきっかけは去年の11月にCD行商ツアーで大阪へ出掛けた際に立ち寄ったギター屋さんで一目惚れして衝動買いしたリゾネーターギターです。リゾネーターというのは共振板、反響板という意味で、それがギターに取り付けられているので、アコースティックで大きい音が出ます。それはエレキギターが生まれる一つ前の時代のスタイルのギターで、そのスタイルのギターはスライド奏法とオープンチューニングとの相性が良いのです。なのでリゾネーターギターでオープンチューニングでスライド奏法をするととても良いのです。それから段々スライド奏法とオープンチューニングに興味が出てきて始めました。
そして更に続きまして、ラップスティールギターというものがあり、(ラップは足のももという意味)スライド奏法用のギターを椅子に座ってももに上向きで置いて、スライドバーを使って演奏するものです。
少し前にYAMAHAのダイナミックギターという古いギターを頂いて、弦の高さがとてもとても高くて普通に弾ける状態ではなかったのですが、そいつをラップスティールギターのようにスライドバーを使って、練習し始めたらとてもハマりました。
そうこうしていると高校生の時に買ったはいいけど全然使っていなかったり、どこかで拾ったボトルネックやスライドバーが3つ出てきたり、アコースティックギターなのに昔誰かにもらったエレキギターの弦を張ったら相性が良かったりしてます。
スライド奏法はスライドバーと弦が触れたり離れたりする繊細な感覚や、弦の振動が空気に伝わって音の響きが広がっていく感覚、音楽に音程を合わせる感覚、色んな感覚が相まって個人的に今まで弾いてきたギターとは別の恍惚感の様なものを感じる事ができる奏法です。何かその恍惚感のようなものを感じられる方向にその人の道はあるんじゃないかと思います。いつまで続くかはわかりませんが、とりあえずこの道を行ってみようと思います。
今あるものは古くなったり、飽きて新しいものが欲しくなったりして物が増えて行ってなんだか心がざわつく原因になりますが、それを磨いたり有効活用する事によって今あるものがグレードアップして行く。と気づきました。これは物質だけではなく、才能や思考も一緒だと思いました。
話は変わりますがこの間ある所へ履かなくなった革靴を持って行って空いた時間に頂き物のオイルでなんとなく磨いていたら、そこにいたある人が履かなくなった良い馬の革靴を僕にくれました。そういう不思議なことってあるんだなぁと思います。