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心のバリアフリー普及啓発プロジェクト「もっと知りたいハンディキャップのこと」

心のバリアフリー普及啓発プロジェクト「もっと知りたいハンディキャップのこと」

墨田区では東京2020大会の重要な柱である共存社会の実現に向けて、2017年度から「心のバリアフリー」の普及啓発に取り組んできました。
高齢者も障害者も誰もが遠慮せず普通に暮らせる居心地のいい社会を目指すためには、まずは知ることから始め、“お互いに思いやる心を育む”きっかけになってほしいと墨田区の主要産業の「ものづくり」と下町の文化「銭湯」を切り口として、3つのイベントが企画されました。

今回11月16日()に取材に向かったのは、障害者などの就労支援のサポートと電動車いすの開発を目指す「レルcommunity 」(墨田区本所4-27-3)で、電動車いすの開発製作販売を行う「さいとう工房」代表取締役社長斎藤省さんと、SNSやタレント活動を通してバリアフリーについて発信をしている中嶋涼子さんを迎えて「福祉×ものづくり」の観点から「電動車いすから生まれる新しい仕事」についてお話をお伺いすることができました。

 

技術とコミュニケーションで“心のバリアフリー”を広げる

斎藤さんは、1994年に重度の身体障害者のために、まだ販売されていない福祉機器や使いやすい電動車いすの改造と製造を目的に「さいとう工房」を立ち上げ、生活をする上で障害があっても、可能性を広げる車いすの開発を続け、車いすを利用する方々が、生き生きと元気に生活を送る環境を生み出しています。
開発製造を行う一方、NPO法人さくら・車いすプロジェクトを立ち上げ、アジアへの車いすの技術の指導や中古電動車いすの寄付などを行っています。また「レルCommunity」を開所して、アジア各国の障害者リーダーの研修生を受け入れたり、車いす利用者の交流会の場として「レルカフェ」を開催しています。

心のバリアフリー

中嶋さんは、障害者がより生きやすい環境を生み出すために、自身の経験や活動をもとに、テレビや雑誌への出演や、学校や病院での講演、イベント、ファッションショーなどを行ったり、SNSやYouTubeでの動画発信とマルチに活動を行っています。

中嶋さんは、9歳の時に突然足に力が入らなくなり、下半身不随となり1年半の入院生活を送ることになります。その後車いすでの生活を送るようになり、次第に人目が気になって引きこもりがになった時期もあったそうです。その時期に映画館で観た映画「タイタニック」に感動して、もっと観たい、映画館に行きたい、という気持が次第に外に出るきっかけとなったそうです。

高校卒業後のアメリカ留学では、自分が障害者であることを忘れられる環境が大きな転機となったそうです。アメリカでは、障害者に対する接し方やバリアフリーが先進的で、街で知らない人と出会っても笑顔で“ハーイ”と言ってコミュニケーションが生まれ、トイレにしても映画館の車いすでの鑑賞にしてもバリアフリーが充実していることが全く日本とは異なっていたそうです。

「私も映画の力で人にパワーを与えられる人になりたい」という思いでアメリカで映画を学び、日本に戻って、映画関係の会社に就職。日本に戻り障害に対する環境が逆戻りするも、同じ障害者のコミュニティーの女子会に参加することで、車いすユニット「BEYOND GIRLS」を結成。

「障害者になり、何もできないと諦めていましたが、出来ることはいっぱいある」ということを多くの障害者に伝えていきたい、そして“心のバリアフリー”を多くの人たちに知ってもらいたいという思いでさまざまな活動や情報を発信する中嶋さん。

心のバリアフリー普及啓発プロジェクト

心のバリアフリー普及啓発プロジェクト
健常者も障害者も笑顔が絶えない暖かい雰囲気のイベント会場でした

 

高齢者も障害者も生き生きと輝いた人生に

「昔は、電動車いすで旅行に行くのも、楽しむよりもむしろ肩身を狭くしている状況でした。当時は、障害者に対する偏見や接し方がまだわからない方の方が多かった時代です。車いすにしてもグレーや茶色など目立たない色使いで誰のものか一目でわからないものばかりでした」と言う斎藤さん。
斎藤さんは、障害者の方が生活する上で不自由のない電動車いすの開発とともに、明るく生活を続けていける環境作りも心がけています。

電動車いす

また、高齢者や障害者の労働環境や雇用の幅を広げられる電動車いすの開発にも余念がありません。その一つにお掃除車いすがあります。これは、業務用の電動清掃機に電動車いすを連結させるという仕組みのもので、コストも抑えられることを考えて製作されています。

「学生の頃は掃除の時間は見学するだけで、何もできなかった。こうしたお掃除車いすに乗ることで、自分の役割ができることはうれしいですね」と中嶋さん。

心のバリアフリー普及啓発プロジェクト

斎藤さんは若い頃には、冒険家でもあり、ラリーのドライバーなどの経歴やアメリカを車で横断するなどの経験を持ち、乗馬やスキーなどを果敢に挑戦する中嶋さんとの共通点も多く、何よりも「高齢者であっても障害者であっても生き生きと輝ける人生を送る」という考えや行動が重なり合い、感銘を受けるお話を両氏から伺うことができました。

さいとう工房 HP

中嶋涼子
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主催:墨田区
お問合せ:墨田区地域力支援部オリンピック・パラリンピック準備室
担当:関、大場
TEL03-5608-1445
E-mailOLY-PARA2020@city.sumida.lg.jp