素敵なお店。素敵な店主(女性編)
ライター:山越栞
長く続いてきたお店の歴史を守りつないできた人、ゼロからお店を立ち上げ新たなチャレンジをはじめた人。すみだの街には、さまざまなストーリーを持った素敵な女主人たちが暮らしています。今号は、そんな彼女たちをクローズアップ。お店を切り盛りしていくなかでの想いや葛藤は、それぞれにどんなものなのでしょうか? 思わずファンになってしまうような、応援したくなる店主の方々をご紹介していきます。気になったお店があれば、ぜひご本人に会いに訪れてみてください。
(全15店舗・店主)
下総屋食堂
宮岡恵美子さん
お店は昭和7年から。今年で90年だから私と同い年ですね。先代が親戚づてにここが居抜きで売りに出ているのを聞いて、広島から出てきたんです。その前に千葉の人がやっていたので「下総屋」なんですって。私は横浜の生まれで、昭和二十七年にお見合いで嫁に来ました。その頃はこの辺も全然違いましたね。両国駅前なんかは原っぱだった。一回目の東京オリンピックの前は高速道路ができるんで、工事の人がいっぱいお客さんで来ました。お相撲さんは、今も場所中に親方さんが通ってきてくれますね。料理の作り方は昔からそのまんまです。先代は優しいおじいちゃんでね。いろいろ教えてくれました。
やりがいは、お客さんが喜んでくれるのが一番ですね。元気の秘訣? 今みたいにお客さんと喋ったりすることですよ。自分はどこにも行けないし、若い頃は「年を取って引退したら旅行しよう」なんて話してたけど、とんでもない(笑)。でもいろんなお客さんがいらっしゃって話ができるから、それが楽しみですよ。
この古い感じが良いといって、映画のロケ地に使ってもらったりもするんですよ。最初はもう随分昔、40年くらい前かな。今は制作会社さんの横のつながりで「あそこが貸してくれるよ」なんてことになってるみたい。再来週も映画を撮りに来るんでね。やっぱしセットするのが大変なんですって。うちは昔の家だから、お店も台所もわりあい広いの。レールを引いても大丈夫だし、この通りは人も自動車も少ないから、ここが両国駅の近くだとは思えないでしょう? 旧安田庭園の緑もあるし。だからお客さんが「ここで座って一杯飲んでると落ち着く」って言うの。クーラーがなくても良い風が入ってくるからね。
ちょっと前までは海外のお客さんもいらっしゃいましたよ。「お皿が並んでるところから自分で好きなのを取って食べるんだ」って教えると、最初は首を傾げるけど、そのうちみんな好きなのを取ってつっついて食べてくれます。
やっぱりいろんな人に知ってもらえるのは嬉しいですね。この歳だしやめようかと思っても、「美味しかったからまた来るわ」とか「また来るからお母さん元気でやっててよ」なんて言われるとね。何とか元気出して続けようと思えるんです。
下総屋食堂
住所:墨田区横綱1-12-33
営業時間:8:30~18:00
定休日:日曜・祝日
ベーカリー チャウチャウ
棚村萌実さん
パン屋さんになると決めたのは、写真店を営む父の姿を見て、私も自分の生まれた地域で、自分の場所を持ってみたいと思ったからです。パンの専門学校に通いながら、自宅から自転車で通える範囲内で場所を探しはじめました。その時に出合ったのが、このキラキラ橘商店街の入り口にある場所です。オープンしてから2年。でも、「まだ2年か」って感じです。
お店をやるのは想像の何十倍も大変なことでした。はじめは「作って売る」という単純なことしか考えていなかったなと。もっと、お客さんをつける方法や長く売っていく方法など、あらゆることを自分で決めなきゃいけない。今でも悩むことはあります。
だけど、たくさんのパン屋さんがあって、スーパーでもパンは買えるなかでウチを選んでもらうために、ここにしかないパンを作りたい。実は、先日とあるコンテストに応募したら、おからと麹の味噌と麦茶のカンパーニュが「健康パン部門」でグランプリをいただいたんです。これはいいきっかけだなぁと思っていて。家族の安心につながるパンを作りたいというのが根底にあるので、自信を持ってお出しできるものをもっともっと磨いていきたいです。
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ベーカリーチャウチャウ
住所:墨田区京島3-21-7
営業時間:10:00~18:00
定休日:日曜・月曜・木曜
カレーとハイボール時々シフォン
オーナー 宮村柚衣さん/店長 斎藤文子さん
宮村さん(以下敬称略):行きつけのカフェが閉店すると聞いて2年前に引き継いだのがここです。とはいえ飲食店経営なんてしたこともなく、コロナ禍の影響もあり業績が不振に…。 オープンしてから8か月で休業して、業態を変えるための試行錯誤が続きました。でも、店長は絶対に文さんじゃないとダメだったので、待っていてもらって。
斎藤さん(以下敬称略):はじめに新店の名前を聞いたときは「長くないですか?」って(笑)。でも、だんだん「分かりやすくていいな」と思うようになりました。
宮村:お店作りには、「あれを食べに行こう」と思える〝華〞が大事だと考えたんです。だから今回は「カリガリカレー」を華にしたんですよね。あとは、カレーにも意外と合うハイボールに、前のお店から人気だったシフォンケーキ。お得な価格設定にもこだわっています。やっぱり通って来てほしいから。
斎藤:「飲食店は掛け算」と昔お客さんに言われたことを今も覚えています。味がよくても接客がマイナスだったら台無し。だから全体で考えて、通ってもらえるお店になっていきたいですね。
宮村:私は、文さんに会いにみんなに来てほしい!
カレーとハイボール時々シフォン
住所:墨田区横川5-10-1
営業時間:11:30~14:30
定休日:月曜
12店舗・店主の紹介
off COFFEE.
堀内菜摘さん
住所:墨田区文花3-2-1 踏切長屋1F
営業時間:平日10:30~19:00/土祝日9:00~18:00
定休日:日・月曜
お子様連れから年配者までお気軽にお立ち寄りください。築90年の長屋をリノベーションした踏切長屋の1階に店を構えるカフェ。落ち着いたシックな店内で、自慢のスペシャルコーヒーとたいやきを楽しむことができる。
★人のものがたり 2022年9月13日
パンダジュース
船井美香さん
住所:墨田区業平1-22-4
営業時間:平日12:00~18:00/土・日曜11:00~18:00
定休日:水曜
明るく元気なフレッシュジュースでビタミンチャージ。新鮮な果物を使用したフルーツジュースを楽しむことができる。POPで可愛い店内では、アート作品も展示。いつでも気さくで明るいオーナーが迎えてくれます。
喫茶千輪
長谷川恭子さん
住所:墨田区東向島1-10-19
営業時間:12:00~17:00
定休日:月・火曜
コーヒーは一杯ずつハンドドリップしています。路地の一角にあるお店は、アットホームな空気に包まれた地域の人たちの交流の場としても親しまれている喫茶店。心温まる作家さんの雑貨もお見逃しなく。
コッペパン専門店 ハト屋
紙田和代さん
住所:墨田区京島3-23-10
営業時間:平日6:30~17:00(売切まで)/休日10:00~18:00(売切まで)
定休日:金曜
焼きたてのコッペパンをお楽しみください。大正元年創業のコッペパン専門店ハト屋をそのまま受け継ぎ経営。昔ながらのピーナッツバター、いちごジャムなどから、ローストビーフ、チャーシューキャベツなど用意されている。
青玄茶荘
天草香織さん
住所:墨田区吾妻橋1-13-2
営業時間:Twitterでご確認ください。
@seigenchaso
本格的な茶器を使って中国茶・台湾茶が楽しめる喫茶店。体調に合わせてブレンドするオーダーメイド八宝茶も人気。美味しいお茶を飲みながら、身体と気持ちが整う、ゆっくりとした至福の時間を過ごしてみては。
L’eau et le Soleil
山田愛さん
(ルイルソレイユ)
住所:墨田区八広2-45-9
東京長屋「旧邸」1F
営業時間:12:00~19:00
定休日:日・祝日
人から人へ、お花と想いをお届けします。明治通り沿いにある長屋をリノベーションして営業するL’eau et le Soleilは、生産者さんの想い、お客様の想いを大切にお花をひとつひとつ丁寧にお届けしています。
ココデコーヒー
浅田 涼子さん・相川 悠里さん
住所:墨田区錦糸1-4-14長嶋ビル1F
営業時間 : 平日7:30-21:00/土曜9:00-20:00/日祝日9:00-19:00
定休日 : 不定休
居心地のよい空間を提供したいと思っています。4つのタイプのスペシャリティコーヒーやバナナ専門店から仕入れているバナナを贅沢に使用した無添加バナナジュースが人気。充実したデザートやランチも楽しめる。
エンジェルパトロナージュ
牧野裕美子さん
住所:墨田区両国2-18-4
営業時間 : 13:00~19:00
定休日 : 日・祝日
ママパパに癒しのギフトをお届けします。子育てを頑張るママパパを応援する雑貨ショップ。癒し、活力、喜びをキーワードに、エシカルかつサステナブルで安心・安全なアイテムが充実。
THINGS ‘N’ THANKS
島本彩子さん
住所:墨田区業平1-21-10
営業時間 : 12:00~20:00
定休日 : 月・火曜
インク沼クリソーも用意してお待ちしています。希少なアメリカンビンテージ文具が所狭しと並ぶ店内で、素敵なアイテムを眺めながらインフルエンサーにも人気のクリームソーダやサンドイッチを楽しむことができる。
Cafe Chopin
高澤友美さん
(ショパン)
住所:墨田区押上2-5-1
営業時間 : 11:30~18:00
定休日 : 第1・3月曜
オリジナルブレンドをお楽しみください。店内に入ると目に付くのが一台のピアノ。ショパンの流れる落ち着いた店内で、こだわりのハンドドリップコーヒーや自慢のカレーセットや自家製のスイーツを満喫することができる。