魚の子は誰のもの?
休みの日。意気揚々と散歩に出る。時刻は11:30。腹が減っていることに気づく。
昨日、友人がインスタにあげていた美味しいパン屋の情報を思い出す。
よし、パンを食おう!
歩いて20分。パン屋に着く。
店の二番人気だという明太フランスと美味しそうに見えたソーセージパンを買う。
ペットボトル一本は収まる、大きめポケットの付いたジーンズを履いてきたので、ポケットから交互にパンを取り出してはゆっくり食べていく。
表面はカリカリしているが、一口噛むとフワホワなパンが現れ、そこに染み込む明太マヨ。マイルドな舌触りでありながらもガツンとくるうまみ。う〜ん美味い。最後の一口は明フラで締めよう。
そう思い、ポケットに明太フランスを収納させ、ソーセージドックを食べ終える。
は〜美味しかった。最後のお楽しみはっと…
ポケットに手を入れる。
ない!僕の明太フランスがない!
ポケットの深さを見誤ったか…と思い、深く手を突っ込む。
カサっ
あるのはパンが入っていた小さな紙袋だけ。手を突っ込むたび、無情にもカサカサ音を出しながら潰されてゆく。
落としたことを悟り、絶望を感じる。クソっ
後ろを振り返ると、1箇所に群がる鳩。
さらなる絶望。落としただけなら、砂利さえ払えば食べられた。
しかし、もうあの明太フランスは彼らのもの。