あそび大学 廃材に目を輝かせ遊ぶ子どもたち

子どもたちの主体性から生まれる想像力
墨田区の町工場の廃材を使用して子どもたちが遊ぶ「あそび大学」が3月19日・20日に開催されました。
同イベントは、墨田区子育て支援活動助成事業の助成を受けて、千葉大学環境デザイン研究室と特定非営利活動法人Chance For All、Seki Design Lab.が協力して開催されたものです。
会場となる千葉大学サテライトキャンパス(墨田区文花)のイベントスペースに入ると、多くの子どもたちが目を輝かせながら遊んでいる姿が目に飛び込んできました。
イベントに参加した子どもたちは173名。翌日の予定をキャンセルし、2日間通して遊びにきた子どもたちも多いようです。

子どもたちの前には、布の端切れ、ウレタンや木の端材などが山積みに置かれています。これらは、墨田区の工場より廃材を寄付してもらったものです。
普段使うことの少ないハサミやノコギリも最初はぎこちなかったものの、すぐに上手く使いこなしていました。
大きな布に穴を開けてドレスを作ったり、段ボールの筒を利用して機関銃を作ったり、大きなブロックをアレンジして遊び場を作ったり、素材だけを渡された子どもたちは自ら自由な発想でものづくりに挑戦しています。

子どもたちの遊びをサポートするのは、千葉大学や東京造形大学の生徒さんたち。
「私たちは何も説明せず、子どもたちが困った時だけサポートしています。子どもたちはあっという間に自由な発想でモノを作っていきます。そんな姿を見ていると私たちも色々と勉強になることがあります」
子どもたちの遊びスペースには、自主性を活かすために、大人が入れないルールを設けています。
遠目で見守る親御さんたちも子どもたちの遊ぶ姿を見て、自分たちの子ども時代と重ね合わせるのか、「空き地で見つけた段ボールで秘密基地を作ったな」「家にあった布を巻き付けて、お姫様ごっこをしたわね」と子ども時代に自由に楽しく遊んでいたことを思い出していたようです。

2階スペースは、大人の「あそび」の学び場
2階のスペースは、子どもたちが遊んでいる風景を眺めたり、子どもたちの遊びの環境を学べるスペースになっています。
そこでは、子ども一人一人の感性を大切にし、個性を伸ばす「レッジョ・エミリア(イタリア)、自然活動体験を基軸にした子育て「森のようちえん」(デンマーク)、7歳から15歳までの子どもだけで運営する「ミニ・ミュンヘン」(ドイツ)、新しい遊びの開発などを提言する「ロンドンプレイス」(イギリス)など世界の子どもの遊び教育や支援をする活動の紹介がされています。

そのひとつ、レッジョ・エミリアの活動を支えているのが『REMIDA』という市の廃材を集めている倉庫。その話を教えてくれた墨田区の町工場の社長さんが、「廃材をあげるので、子どもたちとレッジョ・エミリアみたいなことをやってみれば」という後押しが、「あそび大学」開催のきっかけとなったそうです。
「あそび大学」は、多種多様な工場がひしめく墨田区だからこそ実現したイベントとも言えます。
「大人たちが主導するのではなく、子どもたちが自主的に考えて自由に遊ぶことで、失敗をしながらも試行錯誤し、いろんな発見を生み出しています。子どもたちの遊びを見ている大人たちも、改めて子どもの遊びに対して考え学んでいるようです」と優しい眼差しで子どもたちを見守る關さん。
今回で3回目となる「あそび大学」。「次はいつ行うの」と、参加した子どもだけではなく、親子で次回の開催を待ち遠しくしている声を多く聞きました。
主催:千葉大学 環境デザイン研究室、特定非営利活動法人Chance For All
後援:墨田区教育委員会
協力:Seki Design Lab.