ふたつのすみだジャズ

墨田区には、二つの「すみだジャズ」があります。
錦糸町を中心に開催する「すみだストリートジャズフェスティバル」と、北部地域を舞台にした「すみだストリートジャズフェスティバル in ひきふね」です。
それぞれの実行委員長、多賀健太郎と及川博勝が、二つの音楽祭の現在地とこれからを語ります。

多賀健太郎(写真右)▶︎
(すみだストリートジャズフェスティバル実行委員長/以下、健太郎)
及川博勝(写真左)◀︎
(すみだストリートジャズフェスティバル in ひきふね実行委員長/以下、及川)
すみだジャズ対談
2026

ふたつのすみだジャズ

今回まず伝えたいのは、「墨田区には二つのすみだジャズがある」ということです。

意外と知られていませんよね。
ひきふねは、もともと錦糸町のすみだジャズの北部会場として始まりました。
錦糸町周辺を運営しながら、向島、京島、八広まで広げるのは難しい。
そこで、曳舟で音楽祭を開きたいという人たちと一緒に、実行委員会をつくったんです。

一時期、ひきふねを完全に独立させようという意見もありました。
でも僕は、せっかく母体となるすみだジャズがあるのだから、離れるより、同じ名前のもとで協力し合う方がいいと思っていました。

僕も、それぞれの実行委員会で、やりたいことを実現していけばいいと思います。
同じ枠組みの中で自由にやれることが大切ですよね。
コロナ禍以前、二つのすみだジャズは夏に同時開催されていました。
しかし当日は、どちらも自分たちの運営で精いっぱい。
互いの会場を訪ねる余裕もほとんどありませんでした。


同時開催の頃は、曳舟へ挨拶に行っても、すぐ錦糸町に戻るくらいしかできませんでした。

開催日が分かれたことで、手伝いに行ったり、楽器や機材を貸し合ったりできるようになりました。

人の交流が生まれたのは大きいですね。

離れたことで、逆に近くなったんですよね。
同時開催では見えにくかった互いの姿が、別々の日になったことで見えるようになった。
その変化が、現在の協力関係につながっています。

まちに馴染む「ひきふねサウンド」
多くの会場を展開し、区内外から大勢の来場者を迎える錦糸町。
一方のひきふねでは、商店街や公園、地域の店など、暮らしのすぐそばがステージになります。

僕がひきふねを続けている理由は、キラキラ会館で最後の演奏が終わった時、近所のおじいちゃんやおばあちゃんたちが見せてくれる笑顔です。
あの笑顔を見ると、「これは何にも代えられないな」と思います。

住宅や商店が近いので、出演者はエレキギターをアコースティックギターに替えたり、ドラムをカホンやコンガに替えたりします。
同じ曲でも、まちに馴染むように再アレンジする。
そうして生まれた音を、僕は「ひきふねサウンド」と呼んでいます。

単に騒音対策として音を小さくするのではなく、曳舟だから生まれる音として打ち出している。
守りではなく攻めですよね。
ひきふねの個性がはっきり見えてきます。

物語をつくっているだけですよ(笑)。

でも、それが大事なんです。
まちにあるものを、人に伝わる形にする。
編集する力だと思います。

続けるための改革、その先へ

錦糸町のすみだジャズは、2019年には46会場を展開する大規模な音楽祭でした。
しかしコロナ禍を経て、ボランティアや協賛、飲食販売など、従来の仕組みだけでは運営が成り立たなくなりました。
開催時期を秋に移し、飲食を出店方式に変えるなど、イベントを続けるための改革を進めてきました。

実行委員長になってからは、まずフェスをなくさないこと、財政や組織を安定させることを優先してきました。
その分、自分でも少し保守的になっていると感じます。
もっと冒険したいし、「何のために開催するのか」を、自分たちの言葉で語れる団体にしたいです。

でも、続けるための土台を整えることも、実行委員長の大切な仕事ですよね。
今年は、すみだトリフォニーホール大ホールも戻ってくるんですよね。

2019年以来です。
コロナ禍で途切れた関係を少しずつ結び直し、ようやく同時開催が実現しました。
これは今年の大きな一歩です。
華やかな出演者だけが、音楽祭の目玉ではありません。
途切れた関係を結び直し、まちにもう一度音楽の場所を取り戻す。
その積み重ねも、すみだジャズが未来へ進んでいる証しです。

それぞれのやり方があっていい。
その上で、必要な時に助け合える関係でいたいですね。

二つあることで、すみだジャズの可能性は広がっていると思います。

最後は笑顔で本番を迎えましょう。

そうですね。お互い、いい本番にしましょう。
開催日も規模も、音の響き方も違う。
だからこそ支え合える。
二つのすみだジャズは今年も、それぞれの場所から同じ墨田のまちへ音楽を届けます。

すみだジャズの原点
2019

すみだストリートジャズフェスティバルの立ち上げに携わった
山田直大さん(左)と能厚準さん(右)
たった2人から始まった、まちの音楽祭
墨田のまちを代表する音楽イベント「すみだストリートジャズフェスティバル」。その始まりにいたのが、能厚準(たくみ・こうじゅん)さんと山田直大さんです。
出発点は、2人が酒を酌み交わしながら話した「地域のために何かできないか」という思いでした。山田さんの胸にあったのは、「萎縮している大人の姿ではなく、かっこいい大人の背中を見せたい」という願い。特別にジャズ好きだったわけではない2人は、人が集まり、まちにつながりがまれる場として音楽祭を選びました。
準備は苦労の連続でした。会場の使用許可も、地域や企業の理解も簡単には得られません。それでも区内の飲食店で会合を重ねるうち、参加者は30人、50人と増え、町や企業、行政の協力へとつながりました。

「自分たちがいくら良いと思ってもだめで、周りが応援してくれて実現するものなんですよね」
たった2人の思いは、多くのボランティアが支える音楽祭へと育っていったのです。
開催後には、始まる前よりまちをきれいにする「現状以上復帰」を徹底。2人が次の世代に託したのは、「常にサプライズのあるイベントであってほしい」という思いでした。その熱は今、錦糸町と曳舟、それぞれの新しいすみだジャズへと受け継がれています。
※本記事は、2019年8月2日に「すみだノート」Webサイトで公開した「『すみジャズ』は、2人の男たちの熱い思いから始まった」を、今回の特集にあわせて抜粋・再編集したものです。
2026年
ふたつのすみだジャズ開催!
すみだストリートジャズフェスティバル
2026年10月17日(土)・18日(日)

すみだストリートジャズフェスティバル in ひきふね
2026年11月21日(土)

すみだジャズ 年表
2010年に始まった「すみだストリートジャズフェスティバル」と、2018年にスタートした「すみだストリートジャズフェスティバル in ひきふね」。歴代ポスターとともに、その歩みを振り返ります。
すみだストリートジャズフェスティバルの歩み
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15周年の節目となる開催
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錦糸町駅周辺、錦糸公園、隅田公園など多数の会場で展開
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街全体をステージとするスタイルを継続
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錦糸町・押上・両国・東京スカイツリー周辺などを舞台に再展開
第11回
8月のプレイベント実施で、11月の本祭は中止
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コロナ禍に対応し、オンライン開催
第10回
10年間にわたり「全会場無料」のスタイルを継続
第9回
地域参加型の音楽フェスとして継続
第8回
初の3日間開催
第7回
墨田区の地域・文化との結びつきをさらに強化
第6回
「音楽を通じた街づくり」のイベントとして定着
第5回
継続的な地域イベントとして発展
第4回
「観客・ミュージシャン・スタッフ」の三方良しを掲げる
第3回
街全体を舞台とするフェスへ発展
第2回
規模を拡大。東京都・墨田区の後援認定
第1回
記念すべき第1回開催
すみだストリートジャズフェスティバル in ひきふね の歩み
第8回
下町人情キラキラ橘商店街周辺6会場で開催
第7回
iU 情報経営イノベーション専門職大学で開催
第6回
京島周辺の4会場で開催
第5回
待望の有観客ライブが復活
第4回
島田商店の倉庫を会場に、無観客生配信
第3回
曳舟文化センターから無観客・オンライン生配信で開催
第2回
9会場・98バンドが参加
第1回
記念すべき第1回開催
第0回
すみだストリートジャズフェスティバルの北部開催としてスタートした、ひきふね幻の「第0回」開催
すみだジャズ&すみだジャズinひきふね
共通公式Tシャツ
今年の「すみだストリートジャズフェスティバル」のTシャツは、Ado「阿修羅ちゃん」などを手掛ける寺田てらさんの作品です。ぜひ一緒にすみだジャズTシャツを着用し、「すみだストリートジャズフェスティバル」を盛り上げてください!

一般Tシャツ ¥3,500(税込)
〈Tシャツサイズ〉
レディース,S,M,L,XL
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