台湾を代表するシンガーソングライター リン・イーラー
優しい歌声とメロディーに包まれたコンサートで至福の時間を共有
1月11日(水)、「リン・イーラー日本ツアー」の皮切りになった曳舟文化センターの公演では、アコースティックギターの弾き語り、日本人ミュージシャンとの共演で、日本の楽曲のカバーも織り交ぜ、愛らしい歌声と優しいメロディーを披露してくれました。
台湾台北出身のリン・イーラー(林以樂)さんは、インディーポップバンド「雀斑」やシューゲイザーバンド「BOYZ & GIRL」で作曲とボーカルを担当、2012年にソロ・プロジェクトとして「SKIP SKIP BEN BEN」を立ち上げ、2017年にはソロ活動名義を、本名の「林以樂(リン・イーラー)」として活動。台湾でのシティポップブームの先駆けとして、数々の賞を受賞するとともに表現の幅を広げています。
大変な親日家でもあるリン・イーラーさんは、特に下町が好きで、過去の来日公演の際も、新宿や渋谷といった東京の西側ではなく、浅草や押上といった場所に好んで滞在しています。おじいちゃん、おばあちゃんが元気に歩いている町が好き、とのこと。確かに台湾の台北市でも、ご年配の方々が元気に闊歩している印象を受けます。
おじいちゃんから影響を受けた日本文化
1月20日(金)、レコードコンビニで開催された、DJイベントに出演するリン・イーラーさんにお時間をいただきお話をお伺いしました。
隅田川を挟んで、墨田区と隣接する中央区日本橋浜町にあるレコードコンビニ(Yショップ上総屋/中央区日本橋2-55-5)は、レコードの販売やDJイベントを楽しめるコンビニとして、音楽ファンに親しまれているスポットです。
リンさんが初めてコンサートで日本に訪れたのが2015年。今回のツアーで来日は、10回ほどになるそうです。
取材時には、全て日本語で対応してくれたリンさん。日本語を上手に話せるのは、台湾で週1回、日本語の勉強をされているとのこと。日本に興味を抱いたきっかけは、日本語を話せるおじいちゃんからの影響だそうです。
「歌手になる前に、おじいちゃんの日本の知り合いを訪ねて、日本で暮らしていたこともあるんです。ハンバーガー店でアルバイトしていたこともあるんですよ(笑)」とはにかむリンさんは、歌っている時と同様に優しい声で、インタビューに応えてくれました。
日本の印象を尋ねると、「日本の水は軟水で美味しい水を使っているので、料理がとても美味しいですね。やはり、水に関わるのか、野菜がとても美味しいです」と日本の料理や野菜がお気に入りだそうです。
新たな挑戦は、アイデンティティーの表現
10年以上、台湾のポップ・シーンの第一線で活躍してきたリンさんは、2023年は特別な年になると言います。
「この3年間は、新型コロナウイルスの影響で、歌を通じて表現する機会も制限されることが多々ありました。
今年は、改めて自分のアイデンティティーを見つめ直し、シンガーソングライターとしての表現を大切にチャレンジしていきたいと思っています」
その原点を表現すべく、開催された日本ツアーでは、リンさんの歌に魅了され涙する人、日本語の歌では一緒に歌う人もおり、歌の力で観客の心をつかみ、舞台と観客が一体となったコンサートが展開されました。
今年は12年前の曲を新たにレコーディングした新作の発表を予定しているそうです。日本滞在中に、PV用のドキュメンタリーを撮影したということで、今から発売が楽しみです。