すみだは講談の「聖地」が満載

講談師 田辺一乃

すみだは講談の「聖地」が満載

赤穂義士伝、隅田川乗っ切、すみだが舞台の講談は多いのです。

そんな講談ゆかりの地を訪ねて、着物で街をとことこ歩く。ペンと帳面を手に着物の人間が石碑や説明プレートを「おおっ」と感動しながら見ていると、やがては道行く人から「何をしているんですか」と声がかかります。

「講談に出てくる場所を見て歩いているんです」と言うと、石碑にまつわるお話をしてくださる。時には「うちのお婆ちゃんのほうが詳しいから」と人生の大先輩も加わって、詳しいお話を聞くことが。お陰様で高座の芸にも深みが出ます。「ここらへんで真っ黒の石碑、割れている石碑は、関東大震災か東京大空襲で焼けてしまったものですよ。」と、新しい知識を授かることも。

歴史が脈々と生活の中に生きているすみだ、素晴らしさを噛みしめています。