懐かしいけれど新しい すみだとの出会い
タレント きよこ
実は神様は結構面白がりで、その人の本来の気質とは違う現実を用意することがあるように思います。
幼い頃、例え一駅でも知らない場所へ一人で出かけて行くのは命をかけた大冒険だと言わんばかりに外出を怖がっていた私が、全国を飛び回るお仕事につくなんて思ってもみませんでした。それがあちこちへと行くようになってみると、家族との何気無い記憶が様々な場所と結びついていたことに気がついたのです。
その中の一つが墨田区でした。美味しいものには目がなかった祖父が毎年必ず「春を迎える儀式」のように買ってきてくれたのが、隅田川近くの長命寺の桜餅。私が生まれ育った大田区とは東西に離れた墨田区。祖父から聞くその場所の、船が行き交う川沿いが見事に桜色に染まっている様子や、老舗のお店の佇まいなどの情緒ある風景はまるで異国のように思えて、いつか行ってみたいと夢見た場所でした。
あれから長い時が経つのになかなか訪れる機会がなかったのですが、この六月にすみだパークスタジオ創にて舞台に出演することになりました。お話は誰もが知っているであろう人魚姫の新しい現代版のお話。絵本の世界が広がったような作品です。
水のまちすみだで水のテーマのお話。新しいすみだの思い出が増えるのを、今から楽しみにしています!