京島西瓜物語 2025 夏
裏庭の片隅で植えた小さな苗が、この夏、京島に大きな物語を届けてくれました。
昨夏、京島の編集部裏庭「勝手口駅ホーム」に、近所で手に入れた小玉西瓜の苗をそっと植えました。
京島に降る雨と、あのツリーの反射光を浴びて、苗は静かに息づき、やがてひとつだけ小さな実を結びました。
僕はそれを「京島西瓜」と名付け、日ごとにふくらんでいく姿に心を弾ませていました。
けれど「そろそろ収穫かな」と思っていたある日、実は熟れすぎて、パンッと音を立てて弾けてしまったのです。

儚い一瞬に胸を痛めながらも、残された数十粒の種が、新しい物語を紡ぎ始めました。
たもんじ交流農園へ託されたその種は、ベテランの手に守られ、夏空の下でたくましく育ち、今年八月には見事な大豊作。
みんなで収穫を喜び合い、次の季節へとつなぐ種も、大切に残されました。

この種がまた誰かの庭や畑で芽吹き、実を結び、京島西瓜の輪が広がっていくことを願っています。
西瓜に映る夏空は、ひとときの夢のように儚く、それでいて鮮やかに残ります。
確かに、京島の土と水と人とで紡がれた物語なのです。

すみだノート編集部
及川博勝








