すみだが誇る盆踊り
スタディスト(勉強家)、東京藝術大学大学院・非常勤講師 岸野雄一
皆さんは「牛嶋詣」という言葉をご存知だろうか?墨田区の中央部に位置する碁盤の目のような地域に、牛嶋神社の氏子となる町会が30ほど、同時に盆踊りを開催する。
この同時多発盆踊りに、いくつ周れるかを盆踊ラー(盆踊り愛好者)は競っており、その行脚をして「牛島詣」と呼ばれているのだ。
近年は海外からも、この「牛嶋詣」目当てに来日する者がいるほど、墨田区の隠れた観光資産となっている。
会場によっては隣の町会の太鼓の音が混ざり合い、隣の櫓も見えて、地域をあげての祝祭ムードに包まれる。手作りの装飾を施した櫓あり、お相撲さんがちゃんこを振る舞う町会あり、踊りのレパートリーもちょっとした違いがあったり、各町会の個性を観て周るのが楽しい。
私が子供の頃は、この町会では早い時間に「鞠と殿様」が踊れる、とか「ブラジル音頭」が踊れる、など、各会場の踊り演目をメモして自作のタイムテーブルを作り、汗をかきながら自転車で周ったものだ。
中央区の日本橋地区は、夏の早い時期に70ほどある各町会が小さな盆踊りを行い、8月の末に浜町公園で、全町会が集結した大盆踊り会を行う。墨田区でもこうした、町会の力を合わせた大盆踊り会ができないものだろうか?その実現が子供の頃からの私の夢です。